2010年8月28日土曜日

興味深いお話し(No.14)~夏休みは3ヶ月!~

熊本では8月26日が始業式の学校が増え、最近は子供達の夏休みも少し短くなってるようです。
たまたま授業に来ていたムハマドさんにその事を伝えましたら、夏休みの長さから意外な面が見出される会話となりました。
その一部をお伝えします。

私)小学校は今日から始まったみたいよ。

ムハマド)えっ、9月からじゃないんですか?だいたい子供達の夏休みってどれぐらいなんですか?

私)大体40日ぐらいだけど、最近は少し短くなってるみたいよ。

ムハマドどうしてですか?

私)カリキュラムが変わり、授業数が増えてるみたいだし、ちょっと消化不良気味なのでは?
  シリアでは、子供達の夏休みってどれぐらいなの?

ムハマド)私が子供の時は3ヵ月半でしたよ。今は3ヶ月になってて子供達は   「短くなった」と残念がってます。親達にとっては都合が良いようですが。(笑)

私)3ヶ月!長いですねー!で、子供達はどうやって過ごすの?

ムハマド)私はよくおばあちゃんの家にずっと滞在してました。大きな農園がありましたので、そこで従兄弟達と遊んだり、農作業を手伝いながら、おばあちゃんから色々な事を教えてもらいました。とても楽しかったです。

私)日本の子供達は夏休みでもラジオ体操があったり、登校日があったりしますが、そんな事はないんでしょう?

ムハマド)学校は完全に閉まりますから、そんな事は全くありませんね。先生も完全休みに入ります。私には日本の子供達はちょっと可愛そうに思えます。でも、親達にとっては、それはありがたいでしょうね。

私)シリアは今まで他ヨーロッパ諸国から支配されて来たから、学校制度もどこか他の国の制度なの?

ムハマド)そうですよ。シリアは1920年から46年までフランスに支配されてまして、その時の学校制度が今でも使われているんです。

私)と言う事は、フランスでも夏休みは3ヶ月位だという事よね。

ムハマド)そうですね。ヨーロッパ諸国はだいたい似ていると思いますよ。

私)そうよね。それで、大人達はどれぐらいの夏休みが取れるの?

ムハマド)会社に入って5年ぐらいは平均して2週間ぐらいです。5年を過ぎると、3週間になります。10年を過ぎると、一ヶ月となります。私の妻が今イラクから休みを取って来ていますが、高校の教師で、2ヶ月の休みを取って来ています。

私)凄いねー!日本ではそんなに休みを取ったら、その職場には帰れない感じよ。やはり、そちらでは転職が当たり前だから、優秀な労働者を長く引き止める策とも言えるわけでしょう?

ムハマド)そうですね。でも、日本の会社員の方達は見ていて気の毒に感じる事が多いですよ。今年は「お盆休みは無かった」という人も何人も知ってますよ。また残業手当も付かないのに、夜遅くまで働いている人も普通ですね。外国人の友人ですが、熊本のある会社で働いています。自分は5時には仕事を終わらせるのに、他の人達が誰も帰ろうとしないし、「帰って良いですか?」とか尋ねると、「君は一体ここに何しに来てるの?」とか言われるような感じだそうで、凄くストレスが溜まってるそうです。

私)そうでしょうね。日本では今は、「仕事があるだけで幸運だ」のような傾向性が強いですからね。でも、子供の時から自由時間も少なく勉強し、大人になってからは全てを仕事に捧げるように働いても、「日本の将来は危ない」とか言われてるんだから、本当に「どこかがおかしい」よね。またフランスを例にとっても、大人も子供もそんなに長い休暇を取って遊んでるのに、国自体はけっこう良くやってるし、シリアもまあ大丈夫みたいだし…

ムハマド)そうですね。日本のGDPが世界第2位(今年から第3位)の様に、決して物質的には豊かではありませんが、皆けっこう楽しくやってますよ。
5時になると皆帰りますし、土日はまず働きませんし…
また日本で気の毒に思うのは、自殺者が毎年3万人を超えてると言う事です。

私)そうね…文化的な事情はあっても、もっと一人一人が豊かな、楽しめる生活ができる経済大国であって欲しいよね!でも、「数年後は経済破綻する」とか言うシュミレーションを載せる経済紙もある位だから、ちょっと国には期待できないな。この上は、自分で自分の生活の質を上げるしかないのかな?

2010年8月19日木曜日

興味深いお話No.13 ~大学院で「オール イングリッシュの講義」は?~

ミゲルの後にスペイン語の講座を担当してもらう事になったデニスは、ペルー出身です。
目上の人に対する表現もけっこうあるスペイン語のせいなのか、デニスもとてもマナーが良く、好印象を持たせてくれます。
頓挫していた私のスペイン語学習も、思い切って再開することにしました。
レッスンの合間の面白い会話をご紹介いたします。

デニス)私は今、大学院の博士課程で学んでいますが、M先生はとてもユニークなんですよ。

私)そうですか。どんな風にユニークなんですか?

デニス)講義を全て英語でされるんです。私達外国人留学生にはとても助かります。
     6年前に熊大の修士課程に入ったんですが、その時にトライアル クラス(体験講義)があってたんです。私は興味のあった、「大脳生理学」を取ったんです。私が初めて講義室に入るや否や、それまで日本語でされていた講義を、英語に切り替えられたんです! 私も驚きましたが、他の大勢いた日本人学生もとても驚いたと思いますよ。

私)それは日本人学生はさぞ戸惑ったことでしょう。で、その後もずっと英語で講義をされたんですか?

デニス)そうです。結局、そのオールイングリッシュの講義に申し込んだ日本人は誰もいなくて、最終的に私一人だけの講義となりました!

私) へー、大学院は生徒一人でも講義が開けるんですね。一対一の講義はどうでしたか?

デニス)もう、最高でした! 「今日はこれまで」とかで早く終わったりとか、時間がオーバーするほどじっくり講義をしてもらったこともあったりで、先生の素晴らしい英語で、充実した「学び」を持つことができました。

私)それは良かったですね。 でも、日本人学生もオールイングリッシュの講義を敬遠するようでは、
  先が思いやられますよね!グローバル化は避けられない日本なのに...私の英語スクールにも
「仕事で英語が必要になりました」と言って来られる会社員が、このところ急に増えてますからね。
大学院レベルになれば、英語で学問を理解できる程の英語力は必須となるのは目に見えてますよね。

デニス)本当にそうです。学会は世界各国で開かれますし、全て英語が公用語ですから、内容を理解できる英語力はどうしても必要です。また、英語で意見を言えるようになったほうがいいですよ。日本人参加者は黙ってる人が多いですから。

私)学問だけに限らず、「日本人が何を考えているのか知りたい」とは時々耳にしますので、
  豊かな芸術文化を持った国の優秀な若者として、これからの大学や大学院生には英語で自己表現できるぐらいにはなって欲しいですね。

デニス)そうですね。英語を敬遠してる場合じゃないですよ。

2010年8月7日土曜日

風を見る


写真では良く伝わりませんが、家のキッチンから見える裏の田んぼです。
灼熱の太陽に輝く稲が、涼風に揺れるのを見るのが私の楽しみです。
全てを忘れさせてくれる美しさなのです。

風に心を移入してしまう私は、やはり日本人だと実感もさせられるひと時です。



ペアカップ

" This is for you & your husband."
と言ってミゲルが差し出したのは、このペアカップでした。
「お別れの記念に何か」と思ったのでしょう、なかなか感心な事でした。
この可愛いデザインはすっかり私のお気に入りとなりました。
これでエスプレッソをいただきましょう...でも、夫は濃いコーヒーは嫌いなんです!

結局はお客様用となりそうです。



2010年8月1日日曜日

興味深いお話(12) ~アメリカの仕事事情~

アメリカ帰国を10日後に控えたミゲルの一番の懸念は、仕事のようです。
既に公務員の仕事は見つかっている様ですが、あまり気乗りがしないようです。
アメリカの仕事事情が垣間見える会話を御紹介します。

私)いよいよもうすぐね!

ミゲル)ええ…嬉しいような寂しいような複雑な気持ちです。帰ってからの仕事が心配です。
    でも、両親が自分たちが以前住んでたマンションを提供してくれましたので、どうやらホームレスには成らなくてよいみたいです。(笑)

私)それは良かったですね。(笑)アメリカも日本のように、経済は上向きになってきたけど失業率はまだ高いんでしょう?

ミゲル)そうなんですよ。 私の大学の同級生では、スターバックスでアルバイトをしてる者もいますよ!私は帰ったら公務員の仕事は決まってるんですが、公務員は退屈ですし、給料は低いし、 いつリストラに合うか解かりませんから、嫌いなんです。

私) 他の先進諸国もその傾向はあるようね。私もイギリスやアメリカのお役所の建物が粗末なのには本当に驚いたわ。日本ではお役所の建物は立派なのがドーンと建ってるでしょ?
  ミゲルのケースが日本だったら、「公務員になれて良かったね」と言うところよね。日本の公務員は給料は良いし、 職を追われる事はほとんど無いと思う。 今でも、成りたい職業のトップを争ってるんじないかしら。

ミゲル)それはアメリカとはだいぶ違いますね。
     またアメリカでは、「大学卒」の学歴の価値が低下しているんです。大学院の修士課程や博士課程を出てくる人がドンドン増えてますし、そう言う人達と競合して行かないといけないので厳しいですよ。僕も大学院に行く事も考えています。

私) アメリカでは働きながら大学院に行くのは、普通なんでしょう?

ミゲル)そうですよ。大学院は殆どが夜間コースですし、
     またインターネットを利用した大学院も多いです。

私) でもミゲルはまだ若いんだから、その点は良い仕事を見つけるのに有利にならないの?

ミゲル) えっ、それは逆ですよ!アメリカでは経験を積んだ40代、50代が評価されますので、経験の浅い20代、30代は、良い仕事を見つけるのは容易ではありません。
     また定年も65歳ですから、50代ぐらいまではネクストチャンスがありますよ。

私)日本とは本当に逆よね。 日本の場合は30を超えると、だんだん良い仕事のチャンスが減ると聞いてるよ。

ミゲル)そのようですね。 国によって雇用形態は変わりますからね。

私)でも、日本も「歳を重ねる事はマイナスだけではない」と思えるような社会になって欲しいと思う。

ミゲル)そうですね。

私)とにかく優秀なあなただから、きっと輝かしい未来を開いていく事でしょう。 GOOD LUCK !!

キューバ料理でミゲルとお別れ

約2年間、本当に良く私の英語スクールのために働いてくれたミゲルです。
御礼の意味を込めて、「キューバ料理でお別れの会」を催しました。
集まってくれたのは、やはりミゲルの生徒達が中心でした。
文化は違っても、考え方は違っても、言語は違っても、温かい心は人の心に流れ込むことを証明した
集いとなりました。


普段から料理をしているだけあって、慣れた手付きです。後ろに見えるのは、新しい先生のヤセルです。
シリア出身のムハマドも、冗談連発で自分自身が一番楽しそうでした。

「ビールをそんなに入れるの!?」
キューバの人気メニュー、「コンポヨ」は、ビールでお米を煮込むんです。


今夜のパーティのためにエレガントな装いの奥さんのリサです。
原水駅でミゲルとリサを拾いましたが、駅の階段を下りる時にミゲルがサッと降りて、後からゆっくり降りて来るリサに手を差し出して、階段を下りる手助けをしてました。そして、私の車のドアを開けてあげたのです!
" Thank you, baby."
と、クールに答えるリサの姿に、「いいなぁ!」と思ってしまいました。
どんなに教育しても、私の夫はここまでは無理のようです。(笑)


これも、キューバではよく食べるそうです。バナナの丸焼きです。



予定を大幅に遅れて、やっと出来上がった「コンポヨ」です。あたりは、おいしそうな香りで一杯です。




ケーキも飲み物も奮発しました。
ムハマドはシリア料理、ヤセルはレバノン料理とを一品ずつ持って来てくれて、国際性が高まった食卓でした。





「いただきまーす!」
8時を過ぎて、やっと食べれたご馳走でした。お腹がすいた皆さんもは、「おししいね!」の連発でした。


食べるのもひと段落した頃、木村さんのキーボード演奏が始まりました。お別れ会に相応しい曲を何曲も演奏してくださり、皆で歌い出した曲もありました。


「サルサダンスの事で、ちょっと尋ねたい事がありますので…」と言う事で参加された、M先生です。
長年練習されてるケーナ演奏と、ユニークなトークで会場が盛り上がりました。



笑顔が可愛いこのキューバ出身の男性は、私のサルサダンスの先生なのです。
簡単なダンスを楽しむ予定でしたが、あいにく時間の都合で出来ませんでした。
この2年間、本当に気持ち良くスクール運営が出来たのも、この二人のおかげです。
Best Wishes for you two !!